JSJのコラム

2019年 ベトナム海外採用説明会参加
金属加工業 代表取締役社長 I 様

2019年 ベトナム海外採用説明会参加
金属加工業 代表取締役社長 I 様

★I 社様の今までの求人の満足度と外国人採用の満足度

 

 

【海外採用説明会実績】
・応募者数 40人 
・面接権の獲得者数 12人 
・内定数 2人 
・承諾数 2人

 

 

【ベトナムでの海外採用説明会の様子】

 

【取材の様子】

 

◼️在庫を持たない卸業者として1997年に創業

ネクストステージアジア(以下NSA)
この度は2名の大卒の外国人の採用、おめでとうございます!優秀な応募者が多く最後まで非常に悩まれたと伺いました。外国人採用に踏み切ったきっかけ、海外採用面接会の感想などを色々お聞かせください。まずは御社の事業内容のご紹介をお願いいたします。

 

I社長(以下I様)
弊社は1997年に「在庫を抱えないステンレスの販売業者」としてスタートしました。最初のうちは淡々と利益が出ていたのですが、そのうち、「中間業者を介すことに意味はあるのか?」という流れになり、次第に利益率が減り、薄利多売でないと生き残れなくなっていきました。

そこで約15年前に私が引き継いだ際に「在庫を持って、ビジネスの方法を変えよう」という決断をしました。

 

 

◼️時代の流れを読んで、二度の大きな転換を

NSA)
在庫が無いビジネスから一転、在庫つまりリスクを抱えるというのは大きな変化ですね。

 

I 様)
そうですね。しかし当時は既に単なるステンレスを扱う会社は数多くあり、後から参入しても勝ち目はありません。そこで目をつけたのが、当時希少価値が高かった「ハステロイ」という耐食性・耐熱性にすぐれたニッケル合金でした。(※「ハステロイ」の特徴はこちらで調べましたが合っていますでしょうか?)

その頃日本でも扱っている会社は日本に2、3社。使われている金属の価格変動が高いというリスクがありましたが、結果的にこれが非常に当たりました。

 

NSA)
日本で2,3社だけ!それは貴重ですね。在庫を抱えるという大きな決断が成功の大きな要因になったのですね。

 

 

I 様)
希少性が高かっため注文が殺到しましたね。しかし段々と大きな問題が。当時、金属の加工は大田区の工場に外注していたのですが、職人の高齢化が進む上に継承者もいないために、どんどん工場が廃業してしまったのです。そこで「それなら自社内で加工までできる体制を作ろう」と決めたのが10年くらい前ですね。

 

当時は大企業も58歳とか60歳できっちり定年だったので、ハローワークで求人を出すと60歳前後で経験豊富な方が比較的簡単に採用できたんです。そこで「加工も自社でやろう、職人を育てていこう」と考えるようになっていきました。

 

◼️若手を募集しても一年に一人応募があるか無いかの現実

NSA)
時代的に人材が豊富だったのですね。自社で機械を購入して加工も行う、というのは「在庫を抱える」以上に大きな覚悟が必要だったのではないでしょうか。

 

I 様)
そうだったかもしれませんね。でも時代の流れがありますからね。「工場長に指導をしてもらって生え抜きの若手を育てて・・・」というのが当初のイメージで、5,6年前には技術短大の新卒の採用もしました。ところが「働く」ことへの意識が昔と違うのか、とにかく長続きしない。経験を積んで慣れてくると、どうしても「作業」になってしまう側面もあるじゃないですか。そうなると仕事に飽きちゃうんでしょうね。

 

雇っても続かない上に、少しでも知識がある若手の求人を出しても、一年にやっと一人応募があるかないかの状況が3年も続いてきていました。

 

NSA)

なるほど・・・。作業に慣れることで、やりがいを感じられなくなってしまうのでしょうか。そこで外国人採用に目を向けられたと。

 

◼️外国人を採用し育成するのは、今が最後のチャンス!

 

I 様)

実は外国人採用については、半年以上前から知り合いの経営者からも「とても満足してる」と聞いていて興味はありました。しかし当時は社内に「新人に教えることができる人材」がいなかったんです。新人、しかも外国人に教えるには、知識だけじゃなくて気力、体力も必要だと思ったので。

 

それが今年(2019年)3月に、経験豊富で優秀な人材を工場長として採用することができて、彼はまだ60歳前後と若くて体力もあるので「これは若手育成のチャンスだ!」と思いました。

 

しかし日本人の若者は定着しないし、そもそも応募すら無いことはよく分かっていました。そこで「ここは外国人採用だ!」と思ってNSAに相談し、その後はトントン拍子で1ヶ月後にはベトナムで海外採用面接会を開いていました。

 

NSA)

「日本人の若手は定着しないし応募もほとんど来ない」という長年の課題があったところに、若手を育てられる経験豊富な工場長が就任したことで、外国人採用に踏み切ったのですね。

 

NSA 小宮)

ベトナムではこちらの会社の求人に対して40名以上の大卒人材からの応募があり、私たちが事前にスキルや経験などをヒアリングして面接できる候補者を12名に絞りました。ベトナムには優秀な理系人材が豊富です。ベトナムでの採用面接会では、I 社長が直々に来ていただいて全員とお会い頂きました。

 

 

◼️面接したのは40名以上の応募の中から選ばれた12名

 

I 様)

私が実際に会った12名は、とにかくみんな真面目で本当に良い子たちだったんです。さらに「日本でずっと働きたい」「頑張って難しい仕事でも覚えたい」という意欲がすごく伝わってきて。その12名の中にはビジネス日本語をマスターしているN2の日本語力の方や、日本で3年働いた経験があり技術力も日本語能力も高い方、さらには「ベトナムの東大」と呼ばれるハノイ工業大学の出身者もいて・・・、とにかく優秀人材が豊富すぎて、予定していた2名枠の採用はとても迷いました。

 

NSA)

日本で求人を出しても一年に一人応募が来るか来ないか、という状況を考えると嬉しい悲鳴ですね!

 

I 様)

本当にそうなんですよ。彼らの一番の目的は「家族と離れても、日本で能力を身に付けて成功したい」という気持ちで、とても必死だし、自分の人生がかかっているわけですよ。だからこそ私も、真剣に一人一人との話を大切に扱いました。

 

NSA)

それだけ多くの優秀な人材から、最終的に採用を決めた二名はどのような方々だったのでしょう。また、何が決め手になったのでしょうか。

 

I 様)

最終的に採用した二名のうち一名は、一言で言うとよくしゃべる非常に明るい男子。経験もあり、即戦力でもあります。もう一人の方は、その彼との相性も考えて、妻子がいるとても真面目なタイプを選びました。実はこの中に、先ほど言った「ハノイ工業大学出身」「日本で3年勤務経験あり」の方は入っておらず、面接に臨んだ12人のベトナム人にもとても驚かれました。

 

それぞれの決め手は、両方ともに即戦力になりうることに加えて、明るいタイプの子は色々つらいことがあっても頑張って乗り越えそうなポジティブさがあり、そしてもう一人は「後から家族も呼びたい」という目標があるため、真剣度も高いと感じたからです。

 

例えば二人目もすごく明るい社交的なタイプなら、一緒にゆるい方に流れてしまわないか、と不安を感じるようになるかもしれません。二人で同じ部屋なので、二人の相性もとても大事だと思います。また12人中11人は研修や仕事で日本に来た経験もあったので、日本ナイズされた雰囲気の子もいました。日本経験がある方がなじみやすいという見方もありますが、私はそうではなく、フレッシュな子が良いと思って採用を決めました。

 

◼️海外採用説明会前日、日本語学校の見学で受けた衝撃

 

NSA)

今回はN3以上の条件で足切りをしているために、大半が日本へ来た経験があったのですね。また一緒に採用したメンバーの相性や「どんな相乗効果を生むか」という点もチェックされたというのは、とても参考になります。弊社の海外採用面接会はいかがでしたか?率直に感想をお聞かせください。

 

I 様)

前日に日本語学校の見学に行ったのですが、とにかく熱かったですね。まだ1か月くらいしか日本語を勉強していない子も、「日本から社長さんが来た!」と目をキラキラさせながら話しかけたり、色々と質問をしてきます。みんな真面目で礼儀正しくて、住んでいる寮の部屋は10台くらいの二段ベッドが入った共同生活。これはとても衝撃的でした。良い意味での昔の軍隊的な規律を感じました。

 

次はうちの社員も連れてきて「彼らはこういう環境で日本で働くことを夢見て頑張っているんだ」というのを見せたいと思いましたね。

 

NSA)

とても勤勉で夢にあふれている雰囲気が伝わってきます。なかなか今の日本では見られない風景かもしれませんね。

 

I様)

私自身が体育会系なので、学校の雰囲気はとても気に入りました。また前日に語学学校でベトナム人にたくさん会ったために、なんとなく翌日の面接に来る子の雰囲気がつかめたのも良かったです。とにかく、事前の選考を含めて、全てのお膳立てをNSAにやってもらえるので、私は面接会場へ行くだけ。これも本当にありがたかったですね。今は本当に来年早々の二人の来日が楽しみで、「歩ける範囲が良いかな…」などと考えながら、彼らのために部屋を探しているところです。

 

 

◼️私の望みは、国籍問わず優秀な人間に技術を継承してもらうこと

 

NSA)

今回初めて外国人を採用してみて、いかがでしたか?社長の想いをお聞かせください。

 

I 様)

「高度人材」と言っても現実には、技能実習生と同じように「安い労働力」と捉えている経営者もいるかもしれませんが、私は全くそうは思っていません。ベトナムでの面接の際にも「ベトナム人と日本人の評価の差はありますか?」と質問され「それは全くない。実力があるなら将来的に工場長も外国人で良いと思っている」と伝えましたが、それが本心です。私は国籍を問わず、優秀で真面目な人材に「技術を継承してほしい」。それだけが願いなのです。

 

他の経営者も口をそろえて「外国人は優秀で真面目だ」と言っているので、トップは外国人になって日本人に指示をするということは、未来の日本で決してあり得ないことではないと感じています。

 

◼️これから外国人高度人材の採用を検討する経営者へのアドバイス

 

NSA)

外国人もせっかく高い志を持って来日してくるので、「正当に評価される」という仕組みがあると嬉しいですね。それでは最後に、これから外国人採用を検討する経営者の方へのアドバイスをお願いいたします。

 

I 様)

日頃多くの日本人採用をしているので、その経験からつい経歴や学歴で判断してしまいそうになりますが、経験のある高度人材と言えども「一から育てる」という意識がとても大切だと思いました。そのためには資格や学歴より、「その人自身」をしっかり見るこが重要ではないでしょうか。

 

せっかく日本に呼んで教えてもすぐに辞めてしまわないように、「真面目さ」「人の意見を受け入れる柔軟さ」そして「日本へ来る志の高さ」を私は重視しました。

 

また、今回海外採用説明会に参加したことに対して、お金を払ってくれた親や家族への感謝を自然と口にしていた子は、「この子は義理堅いから長く勤めてくれるのでは」と感じました。まだ実際には勤務していないので分かりませんが、私のアドバイスは「経歴はもちろんだが、それ以上にその人自身を見ること」です。うまく回り始めたらまた海外での採用をしたいと思っています。

 

 

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