「外国人材雇用は未来への投資」と言われる訳とは
この文章をご覧になっている方の多くは、外国人労働者と聞くと、技能実習生をイメージするのではないでしょうか。
実際には外国人労働者は様々な在留資格で区分されており、従事する業種・職種も多岐にわたります。
少子高齢化が進行するわが国で、どのように経営のかじ取りをしていけばいいのか。
今回は「外国人材雇用は未来への投資」と言われるその訳を解説していきたいと思います。
目次
日本の人口の推移
出典:財務省HP 日本の少子高齢化はどのように進んでいるのか
まずは、日本の採用環境を見てみましょう。
上記のグラフを見て頂くと分かる通り、人口がただ減っていくだけではなく人口に占める高齢者の割合が増加する「高齢化」と、出生率の低下により若年者人口が減少する「少子化」が同時に進行する少子高齢化社会となっております。
このグラフが示す通り、日本は今後数十年先まで中途・新卒共に採用難が続くと予測できます。現時点でも採用難を感じられている業種の経営者様からしたら、更に採用難が深刻化するという事実に危機感を感じておられることと思います。
そんな中、今後の日本の経済成長を支えるのが外国人労働者だとされているのです。
外国人労働者のイメージを漠然と持たれている方が多いかともいます。深堀していきましょう。
外国人労働者の種別
出典:出入国在留管理庁HP 在留資格一覧表(令和2年9月現在)
日本にいる外国人は上記のように様々な在留資格を得て在日しております。外国人労働者と聞くと技能実習ビザを取得した技能実習生をイメージしがちですが、今は技術・人文知識・国際業務ビザを取得した高度人材がとても注目されております。
技術・人文知識・国際業務ビザは略して技人国ビザとも呼ばれており、日本で働く高度人材の多くがこのビザを取得しております。
技術・人文知識・国際業務(技人国)ビザとは?
本邦の公私の機関との契約に基づいて行う理学,工学その他の自然科学の分野若しくは法律学,経済学,社会学その他の人文科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務又は外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務に従事する活動
(教授,芸術,報道,経営・管理,法律・会計業務,医療,研究,教育,企業内転勤,介護,興行の項に掲げる活動を除く。)
凄く解り辛いですが、世間一般的に運用されている実例から要約すると・・・
大学等で学んだ高度な専門的知識を、単純労働以外の専門性を活かせる仕事に就いて働けるビザ
と言えます。
技人国ビザは1年・3年・5年のいずれかの在留期間で発行されます。更新申請は日本国内で行え、就業先があれば基本的に期限なく日本で働くことができます。
技人国ビザが注目されている理由は?
技人国ビザを取得した高度人材が注目されている理由を説明していきます。
上記のように技能実習生と比較をしてみます。
採用コスト
技能実習生は採用が決まり初期費用として一人毎に平均50万円前後、入社後は毎月管理費として5万円前後の費用が人件費とは別に発生します。※組合や職種により変動有
それに比べて高度人材を一般的な人材紹介会社から採用した場合、平均年収の30~35%の人材紹介料が成功報酬として発生します。入社後は日本人と変わらない直接雇用になりますので、当然毎月の管理費などの固定費が発生することはないです。
実質実習生を3年間採用した場合と比べると、高度人材は1/2の採用コストと言われています。
雇用期間
技能実習生は3年で満期が基本的です。プラス2年延長するケースは稀と言えます。多くの採用企業から
「日本語と仕事を覚えてきた矢先に帰国してしまう」
「せっかく教えた技術も会社の財産にならない」
「新しい技能実習生を採用したら、また一から教えないといけない」
という声をよく聴きます。
高度人材は基本的には更新申請をすることにより、期間の制限なく就業をすることができます。
採用企業としては日本人同等のキャリアパスを与えることができ、将来の幹部候補として育てることが可能です。
人材の質
技能実習生は海外の高卒の方が大半を占めており、技術や日本語も低いレベルで入国します。その結果単純労働しか従事できず、コミュニケーション力の低さから採用企業にも負荷が掛かります。
高度人材は国内外の大学以上の学歴を有しており、採用企業の事業に属する学部を専攻しております。また中途人材も多く、日本語も堪能な人材が多いです。日本語での面接や、メール・LINEでのやり取りが可能なため、入社後も極めてスムーズに馴染んでいきます。また、職種によってITスキルや、機械・建築等のCADスキルなども持っているため、日本国内で採用難な人材が確保できます。
外国人材雇用は未来への投資
日本人は島国特有の日本語に偏った語学力のため、外国人と共生していくグローバリゼーションが遅れている国の一つです。
しかし少子高齢化による人材採用難が今以上に深刻化するのが確実な日本にとって、会社の事業継続には一過性の人材採用ではなく、長期にわたって会社の軸になる人材の採用が必要不可欠です。
そしてその際に活躍する人材こそ、外国人高度人材であると言われおります。
経営者や採用担当者は、未だに外国人の採用に積極的になれていない方もいるでしょう。しかし、現に早期の外国人採用に舵を取り、成功を収めている競合他社は増えていっているのが現実です。
そして、この差はこれから先に更に明確化していきます。今は辛うじて任本陣の採用が出来ている企業も、年々難しくなってくると思います。その頃には、外国人も日本企業を選んでいる時代に突入しているかもしれません。
外国人の立場に立ってみれば、同じ求人内容の2つの企業があったとします
A.外国人採用実績のある企業 B.外国人採用実績のない企業
AとBどちらの企業を選ぶでしょうか。一目瞭然で外国人の採用実績があり慣れている企業を選ぶはずです。
今の時期から外国人採用を実現し、社内のダイバーシティー化を図ることは、今後の採用難を乗り切り事業を発展させるための先行投資とも言えます。
外国人高度人材の採用を検討するには、まだ今はいい時期なのかもしれません。